About museum

三島由紀夫文学館について

いまなお世界を魅了する 三島由紀夫と作品の数々

Introduction

「山中湖文学の森・三島由紀夫文学館」は、複数の三島由紀夫作品に登場する山中湖の湖畔に、1999年(平成11年)7月開館しました。外観や中庭は、東京の三島邸をモチーフにしており、1階が展示室、2階には閲覧室があります。
「仮面の告白」、「潮騒」、「金閣寺」等の代表作の直筆原稿や創作・取材ノートのほか、書簡、絵画、写真、衣服などに加え、三島作品を原作とする映画、演劇関連資料(台本、ポスター、小道具等)や著書、研究書、翻訳書等、2万点以上を収蔵しています。

作家三島由紀夫とその作品の世界観を紹介する「世界の文豪 三島由紀夫」や、演出家宮本亞門氏が三島の魅力を語る「静寂の森に息づく文豪の情熱」は、館内でのみ観ることのできる特別映像ですので、ぜひご覧下さい。

Mishima Yukio Literary museum

MESSAGE

三島由紀夫文学館館長
佐 藤 秀 明

佐藤秀明 さとう・ひであき 
1955年(昭和30年)、神奈川県小田原市生まれ。県立小田原高校を経て、立教大学文学部卒。立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。私立城北高校非常勤講師、神奈川文学振興会(神奈川近代文学館)職員、椙山女学園大学文学部教授、近畿大学文芸学部教授を経て、現在、近畿大学名誉教授、同志社大学嘱託講師。博士(文学・大阪大学)。著書に『三島由紀夫 人と文学』(勉誠出版)、『三島由紀夫の文学』(試論社)、『三島由紀夫 悲劇への欲動』(岩波新書)、編著に『三島由紀夫の言葉 人間の性』(新潮新書)、『三島由紀夫紀行文集』(岩波文庫)、『三島由紀夫スポーツ論集』(岩波文庫)など。ほかに『決定版三島由紀夫全集』(新潮社)編集協力。

こんにちは。館長の佐藤秀明です。
三島由紀夫文学館は、富士五湖の中で最も富士山に近い湖である山中湖のほとりにあります。瀟洒な建物が、湖畔から少し高台になった森の中に建っています。
三島家に保管されていた大量の資料を、山梨県山中湖村が一括して購入し、「三島文学の研究と普及」のためにつくられた文学ミュージアムが三島由紀夫文学館です。
三島由紀夫の生涯を知りたい人、三島作品の全貌を眺め渡したい人、好きな三島作品の全体での位置を知りたい人、何を読もうか迷っている人などに、三島文学館は回答やヒントを差し出すことができます。
展示室では、ここでしか見られない第一級の資料が惜しげもなく展示されています。『仮面の告白』『金閣寺』『豊饒の海』といった日本文学を代表する小説の資料のほか、『鹿鳴館』『サド侯爵夫人』などの、これも演劇史上重要な戯曲の資料があります。三島作品は演劇はもとより、映画化、テレビドラマ化もされていて、その関連資料も多数展示されています。
「文学なんか、教科書にあったものしか読んだことがない」という人がいるかもしれません。そういう方にこそ、どうぞ「三島」から文学の世界に入ってくださいと言いたいのです。「文学作品は、始めから終わりまできちんと読むものだ」と、私は考えません。そういう生マジメな態度は、人と芸術との出会いを損ないかねません。テレビドラマやマンガの一部分を何気なく見てしまうように、文学作品も途中の一部分をチラッと見るだけでもいいのです。そういう瞥見べっけんに、文学との決定的な出会いがあるかもしれないのです。
三島由紀夫文学館に展示されている、万年筆で書かれた原稿を見にいらしてください。それは何度も本の版を変えて流布している作品の原型です。代表作の原稿は、世界中でこの山中湖にしかありません。
ここに来て、原稿用紙に書かれた一節をゆっくりと読む。そうすると、文学へのリスペクトがむくむくと動き始めるにちがいありません。

Mishima Yukio Literary museum

INFORMATION

  • 開館時間午前10時~午後4時30分(ただし、入館は午後4時まで)
  • 閲覧室利用時間午前10時~11時30分
    午後1時30分~4時30分
    ※都合により、閉室する場合がございます。カレンダーにて利用可能日をご確認ください。
  • 料金
    • 個人一般/500円 高・大学生/300円 小・中学生/100円
    • 団体一般/300円 高・大学生/250円 小・中学生/50円
    • 障がい者一般/250円 高・大学生/100円 小・中学生/50円
  • 休館日毎週月曜日・火曜日(祝祭日の場合はその翌日)
    ※GW期間(4月28日~5月6日)は月・火曜日も開館
    12月29日~1月3日
    資料点検日:不定期

Floor Guide

2nd floor

1st floor

1初版本99冊

エントランスを入ると、三島由紀夫の初版本が99冊ずらりと勢ぞろいしています。最初の本は『花ざかりの森』で、19歳の学生のときのもの。言うまでもなく作家にとって本を出版することは、執筆することと同じくらい大事な仕事です。三島は書名にも気を使い、本の装丁にも凝ったので、どの本にも三島らしさが出ています。三島の略年譜も一緒に展示してあるので、これらを見比べながら三島の作品と生涯をたどることができます。

2平岡公威から三島由紀夫へ

10代の文学熱

三島の戸籍名は平岡公威きみたけで、1925年(大正14年)1月14日に生まれました。学習院中等科から高等科にかけては、詩や小説の創作にのめり込みます。母・倭文重しずえが保管していた驚くほど多くの資料が残されていました。「花ざかりの森」は16歳のときに書いた小説です。戦争が激しくなると、生の証しを残すべく執筆に没頭しました。この時期の原稿は書き直しが多く異稿もあって、作品の生成過程がうかがえます。多くの資料の一部を入れ替えながら展示しています。

3プロフェッショナルの道

20代の苦闘

終戦後、川端康成の推薦を得て雑誌「人間」に「煙草」を発表した東大時代から、ベストセラー小説「潮騒」で一躍有名になる時期までを扱います。20代初めは実力を認められながら、作品は酷評されていました。それが大蔵省を辞めて「仮面の告白」を発表すると、それまで批判的だった批評家までもが認めるようになりました。その後「愛の渇き」「青の時代」「禁色」などの秀作によって着実に力を発揮していきます。この20代の苦闘を資料や写真でたどります。

4八面六臂はちめんろっぴのスター

充実の30代

三島由紀夫は30代になると、矢継ぎ早にすぐれた小説を発表しました。同時に完成度の高い戯曲も手がけます。20代から書いてきた能を素材にした現代劇を、『近代能楽集』と名づけて出版します。この『近代能楽集』は今や毎年のように世界中で上演されています。歌舞伎台本も書きます。さらには文学者らしからぬ芸能人のような仕事も始め、文学に関心のない人たちにも名前と顔が知れ渡るようになりました。

9文武両道

40代の挑戦

剣道に習熟した三島は、空手や居合も習い始めます。自衛隊の体験入隊も試み、国粋的な私設軍隊・楯の会を結成します。ノーベル賞候補にもなりますが、三島は文学だけでは満足できなくなっていました。ライフワークの『豊饒の海』を書きながら、密かに死の準備にも着手しています。謎の多いこの時期の三島の内面に迫る資料はスリリングです。

12アポロ像

文学館のエントランスホールからガラスのドアを開けて、アポロ像の立つ中庭に出ることができます。撮影スポットとしても好評です。アポロ像は三島邸に立つアポロ像を模したものです。ところがこのアポロ像の腹部と首に、自決した三島の傷と同様の亀裂が入ってしまいました。太陽の光りが降りそそぐ明るい庭の、オカルトパワーを感じさせる不思議な現象です。

映像で知る三島由紀夫

MOVIE

隣接する徳富蘇峰館・視聴覚室にて上映しています。『世界の文豪 三島由紀夫』(第1部「生涯と作品」【30分】、第2部「豊饒の海」【24分】)を製作・映像化。『世界の文豪 三島由紀夫』(上演時間54分)、開館20周年記念記念映像『静寂の森に息づく文豪の情熱』(上演時間18分)のいずれかを繰り返し上映しています。上演内容は上演スケジュールをご確認ください。なお、上映は午後4時30分までとなっていますので、あらかじめご了承ください。

READING
ROOM
閲覧室のご利用について

閲覧室利用時間
午前10時~午前11時30分
午後1時30分~4時30分
※閲覧室のご利用には、一般閲覧と特別閲覧があります。
※都合により、閉室する場合がございます。カレンダーにて利用可能日をご確認ください。

SERVICE

施設サービス

車椅子の貸出

車椅子は、三島由紀夫文学館、徳富蘇峰館に各1台ずつご用意しております。ご利用の方は、受付までお申し出ください。館内はバリアフリーとなっておりますので、駐車場から車椅子のままご入館いただけます。
※ご利用状況等によって、貸出できない場合もございます。

AED(自動体外式除細動器)

緊急の方はスタッフにお声掛けください。

コインロッカー

リターン式コインロッカーを設置しております。