企画展「『潮騒』の60年」

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刊行から60年
新治と初江にまた逢える――

 『潮騒』が刊行されてからおよそ60年。若い男女の純愛を描いた「潮騒」は、美しい日本語と文体によって表現され、今もなお読者を魅了しつづけています。
三島作品の中でも、読みやすく、ポピュラーな作品として人気の高い「潮騒」は、1954(昭和29)年に書下ろし小説として刊行されました。たちまちベストセラーとなり、その年の「第一回新潮社文学賞」を受賞、のちに映画化され、各国でも翻訳本が出版されるなど、大変話題となった作品です。小学生向きの図書になっており、現在でも青春文学の代表として、幅広い年齢層から人気があります。
物語が展開される歌島は、三重県鳥羽市の神島をモデルとしており、三島は二度、神島へ行き、取材を行っています。古代ローマの古典「ダフニスとクロエ―」を下敷きに、文明から隔絶した日本の島を舞台に描こうと考えた三島は、数ある候補地の中から神島を選び、「潮騒」を執筆しました。
また、「潮騒」はこれまでに5回映画化されていて、そのすべてがモデルとなった神島で撮影されました。それまで、自分の小説が映画化されても、一度も撮影現場に行ったことのなかった三島が、映画『潮騒』(1954年/東宝)の撮影では、ロケ見物のためにわざわざ神島へ足を運んでいます。三島はその理由をこう記しています。


「土地の人情の醇朴が忘れがたく、実はロケ見物を申し出たのも、
もう一度、神島へ行ってみたかったからである」

三島の生んだ純愛物語。「潮騒」執筆のきっかけは何なのか――。
物語の舞台となった神島とは――。

原稿、創作ノートをはじめ、写真、ポスターなどでその軌跡を振り返ります。「潮騒」の世界をお楽しみください。
 

会期:2015(平成25)年7月2日(火)~2016(平成26)年1月19日(日)
会場:徳富蘇峰館・企画展示室
主催:山中湖文学の森・三島由紀夫文学館、山中湖村教育委員会
協力:一般社団法人 鳥羽市観光協会