特集展「生を象るエッセイーー時代を背負った苦悩の作家」

ごあいさつ
三島由紀夫は割腹自殺をした人なので、変な人だと思われているかもしれませんが、どう考えてもあの人は変な人です。「変な」というのは、もの凄く優れているという意味でもあります。
三島は小説も戯曲も面白いのですが、生(なま)の声を響かせたエッセイや評論にも、いい作品がたくさんあります。視点が独特で、常識を覆す鋭い意見が特徴です。
そのエッセイを展示で紹介してみようと試みました。資料とともに、引用された一文をお楽しみください。
館長 佐藤秀明
展示構成
本展では、三島由紀夫のエッセイの中でも、戦中に青春期を過ごしたという特殊な体験からくる葛藤や苦悩、それらに基づいて築かれた文学観や思想が表れている資料を中心に展示します。
第1章 文学青年の戦争体験
戦時中に青春期を過ごした三島由紀夫。三島の青春期は、否が応にも免れることのできない戦争の影響を受けつつも、戦争とは遠い場所で、文学に対する意欲を育んだ時期でもあった。終戦を迎えると三島は、世相の大きな変化に戸惑うこととなる。その心の動きは、彼自身の文章の中に克明に刻まれている。
第2章 戦後作家としての出発、時代へのまなざし
20代から30代にかけての三島由紀夫は作家活動に勤しむ一方で、数々のエッセイも執筆し、発表している。三島のエッセイを辿ってゆくと、一個人としても作家としても“戦後”という時代に囚われる姿を見出すことができる。それはやがて三島の文学をはじめとしたあらゆる作家的営為、ひいては人生上の主題として大きなものとなってゆく。
第3章 二律背反の思想―文学と行動・生と死
「葉隠入門」を書いた三島由紀夫は、生きることと死ぬことを表裏一体の関係として捉えていた。三島は常に背反する二つの事柄の一致を試み、その張り詰めた緊張感の中を生きることを是としていた。晩年、三島が到達した美学や思想の片鱗はエッセイに散りばめられている。
会 期:2026年1月17日(土)~6月28日(土)
会 場:三島由紀夫文学館 展示室
入館料:(一般)大人700円、高大420円、小中140円
(村民)大人420円、高大140円、小中無料
※常設展を含む
主 催:三島由紀夫文学館、山中湖村教育委員会
協 力:株式会社篠山紀信
後 援:(一社)山中湖観光協会